KISSでチェンジ!
体質
 良明と女子生徒を校舎裏まで見送った純はそのまま逃げるようにして帰宅していた。

 かばんの重さに何度も立ち止まってしまいそうになったけれど、突然モテはじめた良明を思い出すと腹が立って最後には歯を食いしばって全力疾走する始末だった。

 帰宅後すぐにかばんを投げ出してリビングに倒れ込んだときには肺が痛くなっていた。
「くそっ。なんで俺が気をつかわなきゃなんねぇんだよ」

 チッと何度目かの舌打ちをして新しい教科書に名前を記入していく。
幼稚園時代から繰り返している持ち物に名前を書くという行為はすっかり染み付いていて高校にあがっても律儀に守っている。

「良明のなにがそんなにいいんだ? 幼稚園の頃はおもらしして大泣きしてたし、小学校の頃一緒に風呂に入ったらシャンプーが怖いって逃げ回ってたし。全然男らしくなんかないのに」
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