KISSでチェンジ!
 どこまで非情になれば安全に暮らすことができるんだよ!
「くそっ! どけろよ!」

「無駄無駄。女の非力でどうにかなると思うか?」
 男は完全に楽しんでいるようで純は苛立ちを覚えた。

 せめてキスをして男に戻ることができれば、勝てるかもしれないのに……!
 一瞬自分の馬乗りになっているこの男とキスをしたらどうだろうかとよぎる。

 相手が異性であればそれが誰であれ、純の性別は元に戻るはずだった。
 でも……。

 考えて急におとなしくなった純に男がニヤリと笑う。
ついに観念したと思ったのだろう。

 その手が純に伸びてきたその瞬間……「やっぱ無理!」と大声をあげて純は相手にずつきをかましていた。

 ゴチンッ! と鈍い音が聞こえたかと思うと男の力が緩んだ。
その隙きに男の下から這い出し、駆け出す。

「この、くそあまぁ!」
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