KISSでチェンジ!
「なんで? もったいないだろ?」
「俺は友美を助けるつもりでやっただけだから」

 そう言われると納得するしかなかった。
 モデル事務所をしている親戚の人には痛手だろうけれど、人生を左右することだ。

簡単には引き止めることもできないだろう。
「それに、俺が有名になったら純とのキスが難しくなる」

 突然の言葉に思わずむせてしまいそうになる。
「な、なに言ってんだよ!」

 慌ててひと目を気にしてみるけれど、幸い聞かれてはいなかったようだ。
「でもキスは必要だろ?」

「まぁ、そうだけど……」
 自分を襲ってきたあの男とキスをしようとしたことは、胸に秘めていた方が良さそうだと感じた。

「そんなこと言われたら、なんか意識しちゃうだろ」
 純は誰にも聞こえないように、そうつぶやいたのだった。

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