KISSでチェンジ!
 名前を呼ばれてビクリと体が跳ねる。
 恐る恐る振り向いてみると、そこには友人の田中が立っていた。

野球部所属の田中は丸坊主にしていて、よく日焼けした顔をしている。
「なんだ、お前か」

 ホッとため息をついて立ち上がる。
「こんなところで一人でなにしてんだよ。教室戻って昼飯にしようぜ」

 田中はそう言って売店で購入してきたパンとジュースを見せてきた。
 お腹は確かにすいている。だけど教室へ戻れば良明がいる。

良明の顔を思い出すだけで胸がドキドキしてしまって食欲はなくなってしまうのだ。
「いや、今日はやめとくよ」

 力なくその場に座り込む。
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