KISSでチェンジ!
見えたって。
お前グラウンドにいたんじゃないのかよ。

と、突っ込みそうになったけれど今はやめておくことにした。
良明は前に純に言ったとおり、純が女だろうが男だろうがそばにいてくれるのだ。

そう思うと嬉しくて胸の奥が暖かな気持ちになってくる。
「戻ったんだな」

純の体を見て良明はつぶやく。
「あぁ。女のままの方がよかったか?」

「いや、そんなことはない。どちらでもいい」
良明は微かに微笑むと純の手を握りしめた。

授業はすでに始まっていたけれど関係なかった。
どのみちこのままの姿では次の授業に出ることもできない。

職員室へ行って事情を説明して、早退することになるだろう。
「今日のキスは何時にする?」

 職員室までの道のりで良明がそんな質問をしてきた。
「じゃあ……いつもの合図の時間で」

 純は照れ笑いをしながら、そう返したのだった。


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