KISSでチェンジ!
異変
「純」

教室から出ていこうとしている純に声をかけたのは、さっきの数学の授業でケシゴムを落としてから見つからないままだからだった。

ケシゴムは良明の机から転がり落ちて、そのままどこまでも転がっていってしまった。

さすがに立ち歩いて探す気にもなれずに休憩時間まで待って探しているのだけれど、なかなか見つけることができない。

もしかしたら、他の生徒に拾われてしまったかもしれない。
「俺のケシゴム――」

「悪い。ちょっと、トイレ」

純は最後まで話を聞かずに良明の横をすり抜けて教室を出ていってしまった。
良明はぼうっとその背中を見送る。
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