KISSでチェンジ!
「視線?」
 聞き返しながらも純にはすでに思い当たることがあった。

良明の人気は高校入学と同時にバク上がりしている。
 良明の冷たい性格を知ってもなおその人気はうなぎ上りになっているため、妙な人間がよりつくかもしれないと思っていたところだった。

「例えば」
 その質問に良明は思い出すように目を細めた。

 それは入学3日目のことだった。
 良明は休憩時間に一人トイレに立ち、用を終えてから出てきた。

 その瞬間を見計らったかのようにカメラのシャッター音が聞こえてきたらしい。
 人の会話に混ざった機械音は思ったよりも人の神経に触るため、すぐに気がついたそうだ。

良明は音が聞こえた方へ視線を向けて確認したようだけれど、そのときは誰がカメラを使ったのか判断できなかったらしい。
< 28 / 277 >

この作品をシェア

pagetop