【受賞作】命がけの身代わり婚~決死の覚悟で嫁ぎます~
整理した荷物をブロムベルク家に移動させるのに二日を要した。
調度品はともかく、着ていたドレスを返したところでブロムベルク家も処分するだけなのはフィオラもわかっていた。
カリナは隣国で農夫の妻になっているし、自分は平民に戻るので、どちらも必要ない。けれどこれはケジメだ。
すべてを終えたフィオラは、スヴァンテに挨拶を済ませてローズ宮を去ると決めた。
明日にしよう、いや明後日に……などとと考えていたら、いつまで経っても後ろ髪を引かれて出ていけない。
意を決したフィオラはスヴァンテの部屋の扉をノックし、中に入って彼と対峙した。仮面を付けていないスヴァンテの姿には未だに慣れない。
「どうした?」
低くて耳に心地よい声。うっとりとするほど美しい瞳。こんなに素敵な彼を見るのも今日で最後だ。目に焼き付けておこう。
「荷作りができましたので、最後のご挨拶に参りました」
「最後?」
「私は今日ここを去ります。半年間、本当にありがとうございました。スヴァンテ様のそばにいられて幸せでし……」
「待て!」
にこやかだったスヴァンテが表情を一変させて言葉を遮り、フィオラの肩に手を置いた。
「どこへ行くと言うんだ。カリナの身代わりとして持たされた荷物をブロムベルク家に戻すのはわからなくもないから見守っていたが、出て行くとは聞いてない」
「ですので今、ご挨拶を……」
焦燥に駆られたスヴァンテはとっさにフィオラをギュッと抱きしめた。
まるで自分のそばを離れるのは許さないと主張しているかのように。
「実は、サイラス様に近侍の職を解いてもらった」
「え?!」
これからすぐに皇太子になり、ゆくゆくは皇帝として玉座に座るサイラスに仕えるのは名誉なことだ。
その職を放棄したと聞いて、フィオラはひどく驚いた。
調度品はともかく、着ていたドレスを返したところでブロムベルク家も処分するだけなのはフィオラもわかっていた。
カリナは隣国で農夫の妻になっているし、自分は平民に戻るので、どちらも必要ない。けれどこれはケジメだ。
すべてを終えたフィオラは、スヴァンテに挨拶を済ませてローズ宮を去ると決めた。
明日にしよう、いや明後日に……などとと考えていたら、いつまで経っても後ろ髪を引かれて出ていけない。
意を決したフィオラはスヴァンテの部屋の扉をノックし、中に入って彼と対峙した。仮面を付けていないスヴァンテの姿には未だに慣れない。
「どうした?」
低くて耳に心地よい声。うっとりとするほど美しい瞳。こんなに素敵な彼を見るのも今日で最後だ。目に焼き付けておこう。
「荷作りができましたので、最後のご挨拶に参りました」
「最後?」
「私は今日ここを去ります。半年間、本当にありがとうございました。スヴァンテ様のそばにいられて幸せでし……」
「待て!」
にこやかだったスヴァンテが表情を一変させて言葉を遮り、フィオラの肩に手を置いた。
「どこへ行くと言うんだ。カリナの身代わりとして持たされた荷物をブロムベルク家に戻すのはわからなくもないから見守っていたが、出て行くとは聞いてない」
「ですので今、ご挨拶を……」
焦燥に駆られたスヴァンテはとっさにフィオラをギュッと抱きしめた。
まるで自分のそばを離れるのは許さないと主張しているかのように。
「実は、サイラス様に近侍の職を解いてもらった」
「え?!」
これからすぐに皇太子になり、ゆくゆくは皇帝として玉座に座るサイラスに仕えるのは名誉なことだ。
その職を放棄したと聞いて、フィオラはひどく驚いた。