僕の秘書に、極上の愛を捧げます
カウンターに出されたのは、辛めのジンジャーエールと牛肉を使ったサンドウィッチ。
一度も見たことがないメニューだ。
「佐伯、これ・・は?」
「俺が翔子さんのために作ったメニューだ。成宮も食えよ、どうせ晩メシ何も食ってないんだろ? 翔子さん、美味いって褒めてくれたけど、あの様子じゃ味なんて分かってなかっただろうな」
「そうか・・いただくよ。でも、翔子はなぜここに?」
俺は出された軽食を摘まみながら、カウンターの中でボトルの在庫確認をしている佐伯の背中に向かって問いかけた。
「なぜ・・って、そんなの俺に会いたかったからに決まってるだろう?」
後ろ向きのまま、ククッと肩を揺らしながら答える。
「ハハ、佐伯に会いたかったのは間違いじゃないな・・。だけど良かったよ、他の誰かのところじゃなくてさ。それが男でも女でも、今の翔子に間違った形で伝わるのは本意じゃないから」
「で? 理紗は日本まで何しに来たんだ? 実は成宮に本気だったって気づいて、結婚したくて追いかけてきたとか?」
「CEOの代理で、ちょっと・・ね。それにしても、この牛肉のサンドウィッチ美味いな。毎回頼めば作ってくれるか?」
そう言うと、佐伯は振り返って首を横に振った。
接客業の佐伯にしては珍しく、笑顔が消えている。
俺が、理由をはっきり言わなかったことに気を悪くしたんだろうか・・。
「さえ───」
呼び掛けたところで、別の客からオーダーが入りそちらに行ってしまった。
「あれー、佐伯さん珍しく難しい顔してましたね。ま、すぐ元に戻ると思いますけど。さて、成宮さん何か作りましょうか?」
入れ違いにカウンターに戻ってきたバーテンダーが、俺を気遣ってくれたのがありがたかった。
「そうだな、モヒート作ってもらおうかな。ミントの葉多めで、甘さを抑えてくれると嬉しい」
佐伯は、上客が来店したこともあってカウンターに戻ってくることはなく、話すタイミングがつかめないまま、俺は店を出た。
一度も見たことがないメニューだ。
「佐伯、これ・・は?」
「俺が翔子さんのために作ったメニューだ。成宮も食えよ、どうせ晩メシ何も食ってないんだろ? 翔子さん、美味いって褒めてくれたけど、あの様子じゃ味なんて分かってなかっただろうな」
「そうか・・いただくよ。でも、翔子はなぜここに?」
俺は出された軽食を摘まみながら、カウンターの中でボトルの在庫確認をしている佐伯の背中に向かって問いかけた。
「なぜ・・って、そんなの俺に会いたかったからに決まってるだろう?」
後ろ向きのまま、ククッと肩を揺らしながら答える。
「ハハ、佐伯に会いたかったのは間違いじゃないな・・。だけど良かったよ、他の誰かのところじゃなくてさ。それが男でも女でも、今の翔子に間違った形で伝わるのは本意じゃないから」
「で? 理紗は日本まで何しに来たんだ? 実は成宮に本気だったって気づいて、結婚したくて追いかけてきたとか?」
「CEOの代理で、ちょっと・・ね。それにしても、この牛肉のサンドウィッチ美味いな。毎回頼めば作ってくれるか?」
そう言うと、佐伯は振り返って首を横に振った。
接客業の佐伯にしては珍しく、笑顔が消えている。
俺が、理由をはっきり言わなかったことに気を悪くしたんだろうか・・。
「さえ───」
呼び掛けたところで、別の客からオーダーが入りそちらに行ってしまった。
「あれー、佐伯さん珍しく難しい顔してましたね。ま、すぐ元に戻ると思いますけど。さて、成宮さん何か作りましょうか?」
入れ違いにカウンターに戻ってきたバーテンダーが、俺を気遣ってくれたのがありがたかった。
「そうだな、モヒート作ってもらおうかな。ミントの葉多めで、甘さを抑えてくれると嬉しい」
佐伯は、上客が来店したこともあってカウンターに戻ってくることはなく、話すタイミングがつかめないまま、俺は店を出た。