【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第32話 もしも、自分に自信が持てたならば
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「……パーティーに出席、ですか? 私が、ギルバート様のパートナーとして?」
「はい、そうでございます」

 私の安静も無事に解け、元の生活に戻り始めたころ。サイラスさんは私の授業が終わると、ふとそんなことを告げてきた。……パーティーに、参加するの? しかも、ギルバート様のパートナーとして? ……正直、行ってみたい気持ちはある。でも、やっぱり私がパートナーというのは無理があると思ってしまう。

「私、は……その、あまりそう言うのが得意ではなくて」

 そう思ったら、もう断わることしか出来なかった。ギルバート様の婚約者になりたいのならば、社交の場に出席する必要がある。それは、分かる。しかし、そもそもな話私は社交の場が嫌いだ。イライジャ様に婚約を解消された場であるというのも関係しているけれど、どうにも昔から人の視線が痛い。

「さようでございますか。ですが、そうなってしまえば旦那様は別の女性をお誘いするしかありませんね……」
「……」

 そんなサイラスさんの言葉に、私は何故かムッとしてしまった。もしも、ギルバート様がほかの女性をお誘いして社交の場に行かれることになれば……少し、嫌かもしれない。でも、私が社交の場に行くのは少しどころかかなり嫌。……ギルバート様お一人に行っていただくのも、多分無理。

「ど、何処のお家、ですか?」

 そう思ったら、私は震える声でそう言っていた。パーティーには参加したくない。だけど、もしも。もしもまだ知らないお家ならば……参加できる、かもしれない。

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