【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】

「い、たくは、ありません。……ただ、その……」

 言葉には、したくないこともあるのだ。そう思うのに、ギルバート様は全く察してくださらない。……確かに、これでは女性の心など全く理解できていないということが分かる。サイラスさんの言うことは、ごもっともだ。普通、こういう時に女性の気持ちに気が付くことができないと、愛想を尽かされてしまうだろうし。

「……旦那様。貴方は本当にポンコツですね。……シェリル様は、いろいろと考えていらっしゃるのですよ」

 サイラスさんがギルバート様を私から引きはがしながら、その頭を軽くはたかれる。でも、ギルバート様のその目は本当に意味が分からないとでも言いたげで。本当に、ギルバート様は乙女心なんて微塵も分からないのね。いや、私のものを乙女心と言っていいのかは、分からないけれど。

「シェリル様。すみません、ポンコツな旦那様が……」
「い、いえ、お気になさらず……」

 首をブンブンと横に振りながら、私は必死にそう訴える。サイラスさんの言葉が気に障ったのか、ギルバート様は「俺の何処がポンコツだというのだ」なんて問いかけていらっしゃった。……その表情は、何処かムッとされていて。少しだけ子供っぽく見えてしまう。

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