【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第35話 パーティー当日
「うわぁ~! シェリル様、とてもお綺麗です! お化粧もドレスも髪型もとてもよくお似合いで……!」
「クレア。それは一種の自画自賛になるわ。……けど、そう言いたくなる気持ちも分かる」

 ぱちぱちと嬉しそうに手を叩くクレアと、うんうんと満足げに頷くマリン。そんな二人を鏡台の鏡越しに見つめながら、私はじーっと自身の姿を見つめる。若いのだからとクレアが施したお化粧は、薄め。こういうのを異国ではナチュラル系とか言うらしい。そう言うのは、一度訊いたことがある。

 それから、身に纏うドレスは淡いアクアブルーのもの。デザインは何処か大人っぽく、それでいて見方によっては可愛らしい。立ち上がって歩いてみるけれど、ヒールの高さも丁度良くて全く負担にはならない。髪型に関してはいつも下ろしているだけの桃色の髪に軽くウェーブをかけ、編み込みにしてある。……これも、クレアとマリンの美容の腕のおかげだろうな。

「……綺麗、ね。まるで、私じゃないみたい……」

 実家にいたころは、社交の席に出てもすぐに帰っていたし、そもそもこんな綺麗なドレスを持っていなかった。身につけるものはすべてがエリカのお下がり。お化粧も侍女を付けてもらえなかったので、自ら軽く行った程度。……それに比べたら、これは天と地ほどの差がある。

「いえ、これは正真正銘シェリル様ですよ」

 私が鏡に映る自分を見つめていると、クレアは私の両肩に手を置いて、軽く微笑んでくれた。だから、私も自然と笑えた。……今回のパーティーに、知っている人はいないと思う。そのため、私が笑い者になる可能性は低いと思うのだけれど……。
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