【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「義兄様が、女性を婚約者とか候補とか呼ぶのは、一度目の婚約が破棄になって以来初めてなのよ。だから、義兄様は貴女のことが好きなのだと、すぐに分かったわ。……どうか、義兄様をよろしく」
「……は、ぃ」

 ゆっくりと頭を下げてそう言われて、私はどういう風に反応すればいいかが分からなかった。私は、人の悪に慣れている。いや、慣れすぎている。だから、何かがあれば攻撃されてしまうのだと身構えてしまう。それはきっと……私の、悪い癖。ジェセニア様のように、親切なお方もいるというのに。

「しかしまぁ、義兄様ももう三十三なのよね。貴女、おいくつ?」
「私は十八、です」
「あら、私と同じ年。十五も年の差があると、周囲はいろいろと面白おかしく噂をするでしょうね。けど、そんなのに負けてはダメよ。貴女は、私が認めた女性なのだから」

 ジェセニア様は私の両肩を掴まれて、そんなことをおっしゃる。……もしかして、ジェセニア様って結構お転婆なお方なのかしら? そう思いながら私が目を丸くしていれば、ジェセニア様は「辛いときは、義兄様に当たり散らせばいいのよ」なんてアドバイスにならないアドバイスを、くださった。……うん、本当にそれは参考になりそうにないわ。そう思いながら、私は苦笑を浮かべた。
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