【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第38話 嫉妬
「シェリル嬢! ……ジェセニアは、余計なことを吹き込んでいないだろうな?」

 それから数十分が経ち。ジェセニア様とある程度話し終えた私はギルバート様の元に戻ってきた。私が戻ってくるとギルバート様は私の肩を軽くつかまれた。そして、ギルバート様の視線はジェセニア様を軽くにらみつけていらっしゃる。……別に、余計なことを吹き込まれた覚えはない。ただ、アドバイスにならないアドバイスをもらっただけ。

「まぁ、義兄様は私のことを疑うのね。……私たち、一緒に遊んだ仲なのに」
「俺が一方的に面倒を見させられていただけだろう」
「確かにそうですわね。それに、これ以上義兄様をからかうと勘違いされてしまいそうですして……私はこれにて失礼しますわ」

 にっこりと笑ったジェセニア様は、私のことを一瞥し「いつでも、相談には乗るわよ」とだけ耳打ちしてこられると手をひらひらと振って立ち去って行かれる。その様子を、たくさんの人々が見つめていらっしゃる。ジェセニア様は大層な美貌を持っていらっしゃるから、人を惹きつけて止まないのだろうな。

「シェリル嬢。ジェセニアには、何も吹き込まれていないだろうな?」
「……特には、何も、ただ――」
「ただ?」
「アドバイスにならないアドバイスを、いただきました」

 さすがにギルバート様に当たり散らすことは、私にはできない。だからこそ、私が少し頬を赤らめて下に視線を向けてしまう。だって、私は……その、それとなくギルバート様のことを好いているのだから。そんな当たり散らすなんてこと、できやしない。
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