【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「イライジャ様はね、私ととても仲良く過ごしているのよ。……あんた、冷酷な辺境伯の元に嫁がされたって聞いたから、殺されたかと期待していたのになー。あー、あんたの幸せそうな顔を見たら、気持ち悪くなっちゃったわ。あっ、イライジャ様~!」
「……エリカ。それから、シェリル」

 ぶんぶんと行儀悪くエリカが手を振る先には……私の元婚約者である、イライジャ様がいらっしゃって。彼はその豪奢な衣装に似つかわしくないほど、微妙な表情を浮かべていらっしゃって。……きっと、私と対面したのが嫌だったのね。彼は、エリカを本当に愛しているもの。

「私ね、今度イライジャ様と豪勢な挙式を挙げるのよ。……あんたじゃ、絶対に挙げられないようなものよ。……周りにお祝いされながら、私はイライジャ様の妻になるの」

 イライジャ様の腕に、自らの腕を絡めながらエリカはそういう。その言葉に、私は何も言えなかった。言い返したら、面倒なことになる。それが分かっていたからこそ、黙ってやり過ごそうとしていた。けど、やはり悔しさだけは募っていくもので。……ギルバート様と絡める腕に、私は力を入れてしまう。その瞬間、ギルバート様は心配そうに私のことを見つめてこられた。

「あんたは私の幸せを、指くわえてみていればいいのよ。……ふふっ、惨めなお義姉様っ!」

 エリカは嬉しそうにそう言いながら、その愛らしい水色の目を細める。金色のふわふわとした綺麗な髪は、彼女がそれほど大切にされてきたという証拠で。……どうしようもないほど、私は悔しくなってしまった。

「……エリカ嬢、だったな」

 私がじっと俯いてエリカの言葉に耐えていると、不意にギルバート様は私と絡めた腕をほどき、私の肩をご自身の方に抱き寄せられる。そして、エリカをただまっすぐに見つめられていた。……いや、見つめるなんて生ぬるいものじゃない。鋭い目で、これでもかというほど敵意を露わにし、エリカのことを睨みつけていらっしゃった。
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