【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「……ガーデニング」
「はい、庭師に頼めば小さなスペースを貸してくれると思います。滞在時間も限られているので、ちょっとしたお花ぐらいしか育てることは出来ないでしょうが……」

 クレアは、そう続けた。……ガーデニング。少し、興味があるかもしれない。お花とか見るのは元々結構好きなのだ。育てることが出来るのならば……ちょっと、やってみたいかもしれない。

 そんな私の気持ちを汲み取ってくれたのか、クレアは「では、お屋敷を案内した後、庭師に頼んでみますね!」と言ってくれた。……何を、育てようかしら? 今の時期に咲くお花を後で調べてみなくちゃ。

「この時期に咲くお花を、調べたいわ。図鑑とか、あるかしら?」
「そうですねぇ……。図書室に行けばあると思います。ただ、旦那様の許可なく立ち入ることが出来ませんので……」

 マリンが、私の言葉に眉を下げてそう返してくれる。……やはり、図書室は立ち入り厳禁なのか。まぁ、その家の蔵書とか置いてあるから、当たり前と言えば当たり前なのだけれど。……だったら、本日の夕食時にでもギルバート様に交渉してみるのもいいかもしれない。ギルバート様は出来る限り関わってくるなとおっしゃっていたけれど、必要なものがあれば遠慮なく言ってくれともおっしゃっていたもの。……図鑑ぐらい、いいわよね?

「では、本日の夕食時にギルバート様にちょっとお願いしてみるわ。図鑑だけ、あればそれでいいの」
「それでしたら、きっと許可をくださると思いますよ」

 私の言葉に、クレアがそう言ってくれる。その言葉を聞いて、私はゆっくりと与えられたお部屋を出て行く。まずは、客人が使えるお部屋を案内してくれるそうだ。……とはいっても、大したものはないらしい。やはり、重要フロアは主一家が住まう二階に集中しているのだろうな。
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