【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第20話 ギルバートとシェリルのデート(?)(5)
 その後、先ほど通りかかった広場に戻る。それから、その広場の端にあるベンチにギルバート様と並んで腰を下ろし、私はニコニコと笑みを浮かべながらパン屋の紙袋を開ける。やっぱり、こんなにも笑みを浮かべた私は柄じゃないかな……とも思うけれど、ギルバート様は何かを指摘されることもない。なので、私はパン屋の紙袋からサンドイッチを取り出して、ギルバート様に一つを手渡した。

「……いただきます」

 小さくそうつぶやいて、私はサンドイッチの包みを解いてゆっくりとそのサンドイッチにかぶりつく。少し品がないかもしれないけれど、この広場にいる人たちはみんな楽しそうに食べ物にかぶりついている。だから、問題ないだろう。そう思いながら、私はサンドイッチを頬張る。ふわふわのパンと、まだみずみずしいお野菜たち。ベーコンは少し味付けが濃いめなのか、しっかりと味が伝わってくる。……美味しい。

「シェリル嬢。あまり、がっつかなくてもサンドイッチは逃げないぞ」

 ただひたすら美味しそうにがっつく私に、ギルバート様はそう注意される。……リスター家に来てから、私はマナーなどを一通り覚えた。でも、マナーみたいに堅苦しいものは元々好きではない。だから、私としてはこう言う風にかぶりついたり頬張ったりする方が好き。

「シェリル嬢は、そう言う風に食べるのが好きなのか?」
「……まぁ、そうです、ね」

 ギルバート様にそう問いかけられて、私は静かにそう返す。そうすれば、ギルバート様は「まぁ、今日は気にしなくていいぞ」とおっしゃった。その後、ギルバート様ご自身もサンドイッチを頬張られた。

 並んで外でご飯を食べていると、なんだか普通の夫婦みたいだなぁって思う。でも、実際は違うのよね。私たちはまだ婚約者同士みたいな関係だし、元をただせば主と居候。……だけど、私たちの関係って本当に言葉には言い表せないわよね……。
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