君はまだ甘い!
ドタバタ劇となったオフ会から二か月が過ぎたが、マヤはあれからゲームをしていない。

あんな事があり、気まずくてそんな気分になれなかった。

ルイとは、オフ会から帰宅してすぐ、トオルを着替えさせ駅まで送り届けたことをメッセージアプリで報告し、「よかった!」と返事が来たのが最後だ。

これからもっと親交を深められると思っていた彼らと、このまま疎遠になっていくのかと考えると、マヤは残念な気持ちでいっぱいだった。

退屈になった夜はぼんやりとテレビを観て過ごすようになっていた。


とある金曜日。
大阪では珍しく雪がうっすら積もり朝から冷え込んでいるが、オフィスの中はエアコンが効き過ぎて、肌の乾燥が気になって仕方ない。
昼休みに休憩室で化粧直しをしながら、目じりのシワとほうれい線に指を当てて引っ張ってみる。

(せめてあと十歳若かったらなー)

若かったら何だというのだ。
フーっとため息をついた時、スマホの着信音が鳴った。
送信者の名前を見て、心臓が跳ねる。トオルだった。

オフ会後は、元旦に一度だけメッセージがあった。
謹賀新年のスタンプと、「今年もよろしくお願いします!」のメッセージのみ。
その後はルイ達と同様、ゲームを続けているのかどうかはわからない。


『急ですが、明日大阪で会えませんか?』
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