君はまだ甘い!
思わず呆けた声が出た。

(なんでゴルフ場?)

二十年近く過ごした自室のベッドの上で、ミニバス時代からのトロフィーや賞状が収められている飾り棚が目に入り、やっと現実に引き戻されると、一気に血の気が引いた。

(やっちまった・・・!)

初めはそのくるくると変わる表情に興味を惹かれた。
どちらかと言うと笑顔よりも、怒った顔、泣いた顔、しょぼくれた顔が印象に残っている。

コーヒーを被った時、心配そうに自分の腹を摩っている彼女の頭頂部を呆然と見つめていた。
少年のように短い髪と、その両横にちょこんと遠慮がちに付いた丸くて小さい耳が、なぜだかとてもセクシーに感じられた。
だからといって・・・。

(どうしよう!)

自分よりひと回り以上も年上で、離婚したとは言え、子供もいる女性。
社会的にも自分よりもずっと成熟している大人の女性を、夢の中とは言え、自分のような若輩の淫らな欲望の対象にしてしまった。
しかしその一方で、夢の中の自分はとても幸せな気持ちで満たされていて…。むしろもう一度続きを見たい、と思っている。

トオルは頭を抱えた。

「いつまで寝てるの?!」

という姉の声とともに、ドアが激しくノックされたので、寝ぐせのついた頭を掻きながら、のろのろとベッドから這い出した。
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