百物語。
電源の入る音だと分かったはいいけれど、どうして突然入ったのか分からず、私は引き寄せられるようにテレビに向かう。
ざわざわと、テレビっぽくない音が聞こえる。
町の様子を映しているのだろうか、カメラ目線でどんどん人が通っていくのが分かる。
そしてその町は私が見たことのあるものだった。
「……!!」
食い入るようにそれを見ながら、私はごくりと息を呑んだ。それは、見間違えようのない私が16年間過ごしてきた町である。
ただしテレビに映るものは今私がいる町とは違う。どこがと訊かれれば、テレビの中の町には人が何人もいるところや、雪が降っていないところだ。
映像は素直に流れてゆき、次々と建物や人を素通りして、そのうち私はあることに気付いた。
近づいて、きている…?
「…っ…!」
それは、近所の子供がよく遊んでいる公園を映し、隣の家を映し、そして、私の家を映した。
生唾を飲み込みその様子を見るしかない私。恐怖が頭を支配して、動くに動けない。逃げなければならないはずなのに。来ないでと懇願するばかりだった。
だがそれを見ることしか出来ない私に成す術はなく、ついにテレビ画面は玄関を映す。
来る。
「!!」
リビングに向かってくるテレビ画面に、私の背中が映る。近づいてくる。もう、目と鼻の先だ。
ざわざわと、テレビっぽくない音が聞こえる。
町の様子を映しているのだろうか、カメラ目線でどんどん人が通っていくのが分かる。
そしてその町は私が見たことのあるものだった。
「……!!」
食い入るようにそれを見ながら、私はごくりと息を呑んだ。それは、見間違えようのない私が16年間過ごしてきた町である。
ただしテレビに映るものは今私がいる町とは違う。どこがと訊かれれば、テレビの中の町には人が何人もいるところや、雪が降っていないところだ。
映像は素直に流れてゆき、次々と建物や人を素通りして、そのうち私はあることに気付いた。
近づいて、きている…?
「…っ…!」
それは、近所の子供がよく遊んでいる公園を映し、隣の家を映し、そして、私の家を映した。
生唾を飲み込みその様子を見るしかない私。恐怖が頭を支配して、動くに動けない。逃げなければならないはずなのに。来ないでと懇願するばかりだった。
だがそれを見ることしか出来ない私に成す術はなく、ついにテレビ画面は玄関を映す。
来る。
「!!」
リビングに向かってくるテレビ画面に、私の背中が映る。近づいてくる。もう、目と鼻の先だ。