きみのためならヴァンパイア
「これ、どうしよ?」
「持ってく。陸が後で取りに来たらうぜーし」
一理ある。陸君じゃなくても誰かの手に渡ったら大変だ。
何しろピストルにはまだ実弾がこめられている。
「……陸君、これ、どこで手に入れたのかな」
「そのへんのハンターから奪ったんじゃねぇの?」
ピストルは確かにそうかもしれない。
けれど、普通のハンターは実弾なんて持ち歩かない。
そう思ったとき、私がよく知る普通じゃないハンターの顔が脳裏をかすめる。
……まさか、そんなわけ、ないよね。
「おい、顔色悪いぞ。どこか辛いか?」
「ううん、なんでもない……」
「そういえばお前、家にあったピストルーー」
心臓がドキリと大きく鳴る。
正直に話せばいいだけなのに、変に焦ってしまう。
「あっ、あれは、無理やり持たされたの! 本当に、ピストルを使う気なんて全然なかったからね?」
「……まぁそうだろうな、中身、空だったし」
「え?」