きみのためならヴァンパイア
「時間稼ぎかな? 賢いねぇ、陽奈ちゃん。お望み通り教えてあげるよ、僕たち許嫁だもんね?」
一気に、空気がぴりついたのを肌で感じる。
紫月の顔がこわばった。
「……あれ、その反応。間宵君、聞いてなかったの?」
「しっ、紫月、あのね、これはーー」
「それじゃあ僕たちがどんなことしたかも聞いてないよね。もちろんキスくらいはしてるけど、どんなキスだったか想像できる?」
私に言い訳をする暇も与えてくれず、水瀬が追撃する。
本当に最悪な性格してる。
焦る私の頭の上に、紫月が優しく手のひらを置いた。
「……煽ったつもりか? お前が陽奈と何をしてたとしても、どうせお前の独りよがりだろ。初対面でも余裕でわかる。お前、陽奈に嫌われてるだろ?」
「ーーふふ、ご名答。一筋縄ではいかないねぇ。そのぶん陽奈ちゃんは簡単だったのに。……あぁ、ピストルを渡した理由が聞きたいんだっけ?」
紫月の答えに、救われたような気持ちだった。
その反面、水瀬は私をとことん見下しているのが伝わってくる。