きみのためならヴァンパイア



私が受け取ったピストルが空だったのは、やっぱり故意だったんだ。

ーーけど、みんな(・・・)に渡したって?

心当たりは、紫月が今も隠し持っている陸君のピストル。

実弾がこめられていて、普通のハンターの仕業ではないと思っていたけれど……まさか、これもーー?


「……水瀬、どういうこと?」

「んー、何を聞きたいのかな? 陽奈ちゃん、何もわかってないと思うし、一から全部話そうか?」


わからなくて当たり前だ、水瀬の考えなんか。

知りたいのは、銀の弾丸を使わせたくないと言いながら、私にピストルを渡した理由。それが空だった理由。

それから私の勘が当たっているとしたら、陸君に実弾入りのピストルを渡した理由。そもそも陸君と繋がってた理由。

それから、一番聞きたいことーーそれは、紫月が訊ねてくれた。


「お前の目的を言え」

「……言ったら、お話は終わりだけどいい?」


背筋がぞくりとした。

それを言えば、水瀬は動き出すということだ。

紫月か、私か、それとも両方か。

絶対に危害を加えてくる。

水瀬がおとなしく帰るわけがない。


「ど、どういうつもりで私にピストルを渡したの?」


……せめて、時間を稼ごう。

紫月が体勢を立て直して、水瀬から逃げる作戦でも考えてくれるくらいの時間を。


< 135 / 174 >

この作品をシェア

pagetop