きみのためならヴァンパイア
私が受け取ったピストルが空だったのは、やっぱり故意だったんだ。
ーーけど、みんなに渡したって?
心当たりは、紫月が今も隠し持っている陸君のピストル。
実弾がこめられていて、普通のハンターの仕業ではないと思っていたけれど……まさか、これもーー?
「……水瀬、どういうこと?」
「んー、何を聞きたいのかな? 陽奈ちゃん、何もわかってないと思うし、一から全部話そうか?」
わからなくて当たり前だ、水瀬の考えなんか。
知りたいのは、銀の弾丸を使わせたくないと言いながら、私にピストルを渡した理由。それが空だった理由。
それから私の勘が当たっているとしたら、陸君に実弾入りのピストルを渡した理由。そもそも陸君と繋がってた理由。
それから、一番聞きたいことーーそれは、紫月が訊ねてくれた。
「お前の目的を言え」
「……言ったら、お話は終わりだけどいい?」
背筋がぞくりとした。
それを言えば、水瀬は動き出すということだ。
紫月か、私か、それとも両方か。
絶対に危害を加えてくる。
水瀬がおとなしく帰るわけがない。
「ど、どういうつもりで私にピストルを渡したの?」
……せめて、時間を稼ごう。
紫月が体勢を立て直して、水瀬から逃げる作戦でも考えてくれるくらいの時間を。