きみのためならヴァンパイア
「でも、嘘じゃないから……!」
「……見ればわかる。お前がそんな目をするのは初めて見た」
予想外の言葉だった。
どうせまた、否定されると思ってた。
……お父さん、もしかしたら、私の気持ちをわかってくれたのかな。
「ーーだからここで、お前を止めるとしよう」
次の瞬間、父親の持つピストルの銃口は私に照準を定める。
……期待しちゃいけないって、わかってたのに。
こうやって、何度、打ち砕かれただろう。
同じことを、何度、繰り返したのだろう。
私の父親は、ひどく頑固で、話を聞かない。
ーーわかりあうとか、わかってもらうとか、そんなの到底無理なんだ。
……理解していたつもりだった。
それなのにどうして私は、希望を抱いてしまうのだろう。
勝手に涙がにじんで、その粒を強風がさらっていく。
……父親と、交戦したくはなかった。
父親は、強い。
たとえ私がヴァンパイアでも、それを知っている上に銀のピストルを向けられたら、勝ち目は薄い。
勝ち筋があるとしたら、逃げの一択だ。
ーー強い風に、砂が舞う。
父親のまばたきの瞬間、一か八かの望みをかけてーー私は塀に向かって跳んだ。
そのとき、銃声が耳をつんざいた。