きみのためならヴァンパイア




寝る支度も終わって、ソファに横になる。

ベッドはまだ届いていないらしい。


家では、紫月がベッドで私は床に敷いた布団に寝ていた。

まあ『デザート』の後、そのまま一緒に寝たことがないわけじゃないけど。


……けど、今のこの状況は、許されていいのかな。

ソファに二人で寝るって、ちょっと密着しすぎだと思う。

なんか、初めて会った日の夜を思い出してしまうのもあって、心臓の鼓動がかなりうるさい。


「……やっぱ私、床で寝る!」

「なんで……あ、キツいか? 怪我したとこ」

「や、そうじゃなくて! ち、近いから……!」

「……じゃ、ダメ。言うこと聞く約束だったよな?」

「そ、そんなぁ……」


ダメだなんて、どういうつもりで言ってるんだろう。

こっちはいつ後ろから噛みつかれるかわからなくて気が気じゃないのに。


けど約束と言われたら仕方ない。

私が諦めて目を閉じた頃、紫月が口を開く。


「……責任、取る。傷が残ったら」

「えっ、いいよそんな、紫月のせいじゃないし……」


紫月がそんな風に思うことじゃない。

けど、頭に疑問がよぎる。


――責任、って、どんな?

もちろんそれを口に出すことはしなかった。


代わりに、別の質問を投げかけてみる。


「――ね、病院で、なんで婚約者なんて言ったの?」


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