公爵令嬢ヘレーネの幸せな結婚
◇◆プロローグ◆◇

◇公爵家の呪い◇

 昔むかし……というほど遠くない少し昔、美しい王女がおりました。

 王女は、政変により祖国を追われた異国の王子と恋仲になります。

 ところが、国王は公爵家への降嫁を命じました。

 婚礼の最中、王女は呪いの言葉を唱えます。

 “この結婚から生まれ出るものは全て、ひとつ残らず神の恵みに(あずか)りませんように”


 *:・゚*.+ ❄︎ *:・゚*.+ ❄︎ *:・゚*.+ ❄︎ *:・゚*.+


 バイエルン王国、王都ミュンヘン。

 ルートビッヒ通り(シュトラーセ)を吹き抜ける小雪まじりの風が、マクシミリアン公爵宮殿の窓をカタカタと震わせる。

 子供部屋で眠る公爵令嬢ヘレーネは夢の中で、幼い女の子と出会った。

「ねぇ、王女の呪いはどうすれば解くことができる?」

< 1 / 42 >

この作品をシェア

pagetop