【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 それから、ラインヴァルト殿下は私をずっと気遣ってくださった。

 でも、なんだろうか。気遣われながらする食事は、緊張して味がよくわからない。美味しいはずなのに味わえない一抹の寂しさを抱きつつ、私は朝食を済ませる。

「口に合ったか?」
「……はい」

 正直、初めのときしか味はわからなかったけれど。

 けど、それを言うことは出来ずに頷く。実際、初めのときに口の中に広がった味は、私にとってとても好きなものだったから。

「そうか。よかった」

 ラインヴァルト殿下が、私に笑いかけてくださる。その笑みがとても眩しくて、自然と目を細めた。

 彼はまるで、眩しい太陽のような人だと思う。とても美しくて、人を惹きつけて。なのに、手を伸ばしても届かない。

 ……そんな、尊いのに遠い存在。

「……殿下」

 自然と、口がラインヴァルト殿下のことを呼ぶ。すると、彼が「なに?」と私に視線を向けて言葉をくださる。

 ぎゅっと膝の上で手を握った。

「……この後、私はどうすればよろしいでしょうか……?」

 それは、一番の問題だった。だって、そうじゃないか。王城に居候させてもらうのに、なにもしないわけにはいかない。そもそも、なにも持ってきていないのだ。……一度、お屋敷に帰る必要もある……かも。

「実家に戻りたいのですが……」

 震える声でそう告げれば、ラインヴァルト殿下の眉間がぴくりと動いた。

 かと思えば、彼が私の手を掴む。ぎゅっとつかまれたことに驚いていると、静かに「ダメだ」とおっしゃる。

< 43 / 175 >

この作品をシェア

pagetop