【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 王妃殿下の口から紡がれていく、ラインヴァルトさまとコルネリアさまの思い出話。

 同じテーブルの方たちは、楽しそうに相槌を打って聞いている。……なのに、私だけそんな気持ちにはなれない。

 胸がずきずきと痛んで、心が逃げ出したいと叫んでいるのが、わかった。

(……コルネリアさまのほうが、私よりも)

 ずきずきと痛む胸を押さえて、ラインヴァルトさまのほうを見つめる。彼は、コルネリアさまとお話をされていた。

 彼の目には邪険そうな感情なんて見えない。……あぁ、特別なんだ。嫌と言うほどに、思い知らされる。

(こんな気持ちに、なりたくないのに)

 ラインヴァルトさまの目が、優しい。何処か声音が柔らかい。

 そんなもの、彼女に向けないでほしかった。私だけに、私だけに――向けてほしかったのに。

 口を開いたら悪意のある言葉が溢れてきそうで、私はぎゅっと唇を引き結ぶ。

(ダメ、ダメよ。……場をしらけさせるようなことを言うのは、ダメ)

 自分自身にそう言い聞かせて、必死に俯いて、目を瞑って。

 目に入るものも、耳に入る言葉たちも。なに一つとして、私の意識には入れない。

 そんな風にこの空間に耐えて。……気が付けば、お茶会は解散の時刻となっていた。

 お茶会の際中、私はラインヴァルトさまと一言もお話をすることは、出来なかった。

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