捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「――ということなの。どう思う?」
「コメントする必要を感じませんね」

 回答になっていない言葉を返され、私は眉間にしわを寄せた。

「私がどうこう言ったところで、なにも変わらないでしょう」

 ギードのあきれたような態度に、内心むっとする。しかし、彼の言葉もまた事実……なのだと思う。

 ヴィリバルトさんと共同生活をするようになって、二週間。はじめこそ私を警戒していたギードは今ではある程度心を許してくれた。先日「呼び捨てでギードと呼んでいいですよ」と言われたこともあり、今では軽口をたたく間柄となっている。

 私が彼を「ギード」と呼び捨てにするように、彼は私を「リーナ」とあだ名で呼ぶ。今まであだ名で呼ばれたことなんてないから、すごく新鮮で、嬉しかった。

「ドラゴンに相談するよりも、同じ種族である人間に相談しなさい。そちらのほうがリーナの力になってくれる」
「……相談できる人なんて、いないわ」

 婚約破棄される前も、されてからも。私には心を許せる人など一人もいなかった。

 元婚約者はあんな人だった。家族も男尊女卑の考えが強い。友人もろくにできず、使用人たちからも恐れられていた。

 ……私は、本当に寂しい人間だった。
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