捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
 私もギードと同意見だ。彼はとても優しくて、優しすぎて。人に心配をかけまいと、自分で全部抱え込もうとする。

 ほんの少し一緒に過ごしただけの私でも心配になるのだから、長く一緒にいるギードは気が気じゃなかったはず。

「私はヴィリが大切です。彼には幸せになってほしい。彼の弱い部分も受け入れてくれる人が欲しい」
「……それは」
「あなたなら、そんな存在になれる。私はそう思っていますよ」

 ギードの目が私をじっと見つめている。

 出逢ったばかりのころは、私がギードにぐいぐい迫って困らせていた。

 瞳には常に迷惑そうな色が宿っていて、申し訳なく思っていた。

 でも、今のギードの目には信頼が宿っている……と感じるのは、思い上がりなのだろうか。

「それに、あなたの存在は私にとってもとてもありがたいのです。たくさんの知識を与えてくれますからね」
「ギード」
「ま、変な輩がヴィリの側にいるよりは、あなたで妥協してやろうというだけですよ」

 ギードは身体を動かして、私に背中を向けてしまった。

 話はおしまい。今日はこれ以上話すつもりはありませんというギードなりの意思表示だ。

「うん。話を聞いてくれてありがとう、ギード」

 背中に声をかけると、大きな翼がぴくりと動いた。きちんと聞いているというアピールだろう。

 基本そっけなくてつんつんしてて。それでも律儀で、話をきちんと聞いてくれる。適当でも相槌を打ってくれる。

「今度なにかプレゼントを持ってくるね」
「……では、スフレケーキを。とびきり大きなものをお願いしますよ」

 そして、ちゃっかりしている。

 ギードに向かってうなずいた私は、ギードの住処を出ていった。
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