捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「もちろん、ヴィリバルトさんが見返りを求める人ではないことは、知っています」

 ただ、長年植え付けられた考えは簡単には消えない。

 忘れよう、この考えは捨てよう。どれだけ願っても、思考の奥底にこびりついている。

「こんなにたくさん良くしてもらっているのに……って」

 彼は私にたくさんのことを与え、教えてくれる。

 偶然知り合っただけで、私の面倒を見る義理など彼にはない。

 これは彼の好意で、いつまでも甘えちゃいけないって思ってしまう。

「私はヴィリバルトさんになにを返せているんだろうと思うと、苦しかった」

 目を伏せる。

 ヴィリバルトさんは私の言葉に口を挟むことなく、黙っていた。

 こういうところもヴィリバルトさんの好ましいところ。私の話を否定せず、最後まで聞いてくれる。

 こんな彼だから、私は彼の役に立ちたい。恩を返したいのだ。

「だから、焦ってしまいました。すみません」

 頭を下げる。ヴィリバルトさんは少しして、立ち上がる。彼は私の前に跪き、顔を覗き込んできた。
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