捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
「あなたはとても魅力的ですよ。優しいところも、好奇心にあふれているところも。なによりも、あなたは可愛らしいです」
「……そこまで言われると、逆に胡散臭く感じます」

 照れ隠しで、ついツンケンした態度をとってしまう。顔をプイっと背ける。

 顔が熱い。絶対に真っ赤になっている。

「胡散臭いなんてはじめて言われましたね。俺は本心しか話さないのに――って」
「……だったら、相当口がうまいようで」
「口がうまいわけないでしょう。そもそも俺がこんなに褒めるのは――メリーナさんだからですよ」

 強く手を握られて、鼓動が高鳴る。

 同時に頭の中で警報が鳴る。どうしよう、このままだと本当に――私は、この人から離れられなくなってしまう。

(――好きに、なってしまう)

 恋をしたところで、叶うはずがない。

 だから、ずっと一緒にいることなんてできない。

 わかっているはずなのに、私は彼という沼に沈んでいく。抗おうとするほどに、引っ張りこまれていく。

 好きになってしまう。恋に落ちてしまう。

 ――おかしいくらい、愛してしまう。

 今ならまだ戻れるだろうか。いや――もう、戻ることなんてできないだろう。

 頭の中でだれかがささやいた。
< 74 / 80 >

この作品をシェア

pagetop