イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 わざわざクッキーまで作って、俺のところに改めて謝りに来るなんて。


 いい子なんだなって思った。


「ちょっと、これ見てよ。さっきいきなり、1年の子にもらったんだけど」


 そんな話し声がしてそちらを見ると、昨日俺に告白してきたツインテール女子が、俺がさっきもらったものと全く同じクッキーの袋を持っていた。


 怜央の妹……確か名前は依茉だって、前に怜央が言ってたっけ。


 あの子、俺だけでなくツインテール女子にもちゃんとクッキー渡して謝ったんだな。


「ていうか、よく知らない子が作ったものなんて、怖くて食べられないよね。あの子には悪いけど、これ捨てちゃお」


 そう言って、クッキーを教室のゴミ箱に持って行こうとするツインテール女子の姿が教室の窓越しに見えた。


 俺は慌ててその子の元へと走っていき、クッキーを持つ彼女の手首を咄嗟に掴んでしまった。


「えっ、一堂くん!?」

「これは、俺の親友の西森の妹が作ったものだ。だから、捨てるなんて勿体ないことだけは絶対にしないで欲しい」

「は!?」


 いきなりこんなことを言われても困るだろうけど、どうしても見て見ぬふりはできなかった。


「そのクッキー、俺もさっきもらって食べたけど。めっちゃ美味かったから、食べないと人生損するよ」


 それだけ言うと、俺は教室を出ていく。


 俺が教室から廊下に出た頃、「ほんとだ。このクッキーすごく美味しい」という声が聞こえてきて。


 俺は思わず、頬がゆるんだ。


< 105 / 295 >

この作品をシェア

pagetop