イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「へ?」
頭上から声がして顔を上げると、わたしのそばには慧くんが立っていた。
「けっ、慧くん!」
い、いつの間に!?
「ねぇ、依茉。誰のことを、かっこいいって言ってたの?」
「う……」
これはきっと、わたしに意地でも言わせるつもりだ。
「そ、それはもちろん……慧くんだよ」
「えー、嬉しいなぁ」
わたしが素直に言うと、慧くんは満面の笑みを浮かべ、彼の薄い唇がわたしの耳元へと近づく。
「依茉も、すごく可愛いよ」
他の皆には内緒とばかりに囁かれ、心臓が大きな音を立てる。
「けっ、慧くんったら、バイト中にそんなことを!」
一瞬でわたしは、頬が熱を帯びるのが分かる。
「すみません。俺の彼女が、あまりにも素敵だったものでつい……」
店員さんモードの慧くんが、わたしの前に先ほど注文したカフェラテと……ガトーショコラがのったお皿を置いてくれた。