イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「あの。なんか、兄のワガママに付き合わせてしまってすいません」


 今回は、一堂先輩も巻き込まれた一人だと思うと、わたしは自然と彼に謝罪の言葉が出た。


「ううん? 大事な親友の頼みだからね。断るなんてできないよ」


 先輩、意外と友達想いの良い人なのかもしれない……と思っていたら。


「まあ、彼女を1ヶ月に3人掛け持ちってしたことなかったから。面白そうだなって思ったし?」


 ……はい?


「い、一堂先輩……?」


 今のは、聞き間違いだろうか。


 すると一堂先輩の人差し指が、わたしの唇にちょんと当てられる。


「俺たち、これからは仮にでも恋人同士なんだから。その “ 一堂先輩 ” って呼び方はやめて欲しいかな」

「えっ?」

「“ 先輩 ” はつけなくていい。あと、敬語もなしで」

「えっと、それじゃあ……一堂くん?」

「うん。なんか、一気に同級生っぽくなって良いね」


 満足そうに微笑むと、一堂くんの整った顔が少しずつこちらへと近づいてきて。


 彼の柔らかい唇が、わたしの唇にそっと重なった。


< 45 / 295 >

この作品をシェア

pagetop