イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「あの。なんか、兄のワガママに付き合わせてしまってすいません」
今回は、一堂先輩も巻き込まれた一人だと思うと、わたしは自然と彼に謝罪の言葉が出た。
「ううん? 大事な親友の頼みだからね。断るなんてできないよ」
先輩、意外と友達想いの良い人なのかもしれない……と思っていたら。
「まあ、彼女を1ヶ月に3人掛け持ちってしたことなかったから。面白そうだなって思ったし?」
……はい?
「い、一堂先輩……?」
今のは、聞き間違いだろうか。
すると一堂先輩の人差し指が、わたしの唇にちょんと当てられる。
「俺たち、これからは仮にでも恋人同士なんだから。その “ 一堂先輩 ” って呼び方はやめて欲しいかな」
「えっ?」
「“ 先輩 ” はつけなくていい。あと、敬語もなしで」
「えっと、それじゃあ……一堂くん?」
「うん。なんか、一気に同級生っぽくなって良いね」
満足そうに微笑むと、一堂くんの整った顔が少しずつこちらへと近づいてきて。
彼の柔らかい唇が、わたしの唇にそっと重なった。