イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「依茉の彼氏は、俺だろ? 今、他の奴のことなんか考えんなよ」


 いくら仮に付き合ってると言っても、こんな強引なキスなんて嫌なはずなのに。


 相手が一堂くんだと拒めなくて、受け入れてしまう。


 最初は、触れるだけのキスが何度も繰り返されていたけれど。

 次第に荒々しいキスへと変わり、開いた唇の隙間から一堂くんの舌先が侵入してくる。


「依茉が、俺のことしか考えられないようにしてやりたい」

「……あっ」

「今は、俺に集中して」

「んんっ……」


 慣れない深いキスに、息が苦しくて。わたしは唇を離そうとするが、一堂くんがそれを許してはくれない。


「三原となんか、仲良くすんな。依茉にはいつも、俺だけを見ていて欲しい」


 まさか、あの一堂くんがそんなことを言うなんて……。


「ねぇ。今日の一堂くん、なんだかちょっと変だよ?」

「だよな。こんなの、俺らしくないって自分でも分かってるけど。最近、依茉のことになるとどうも抑えられなくて」


 真っ直ぐ向けられた眼差しに、胸の鼓動が跳ねる。


「ああ、やっぱり俺……好きだわ、依茉のこと」


 長いキスのあと、ようやく唇が離れ、どこか独り言のようにポツリと言う彼。


「なぁ、依茉……これから俺、本気出してもいい?」


< 99 / 295 >

この作品をシェア

pagetop