イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「ちょっ、ちょっと一堂くん。こんなところで、何を……」


 いくら車の中とはいえ、運転席には寺内さんもいるのに……。


「何って、消毒だけど?」


 それが何か? とでも言いたげな顔の一堂くん。


「やっ、やだ。わたし、そんな消毒なんてして欲しくない……」

「こっちの手首は、さっき悪いヤツに掴まれただろ?」


 悪いヤツって。三原くんは、優しいクラスメイトじゃない。


「だから、バイ菌がついてるといけないから、ちゃんと消毒しておかないと」


 そうして再び、手首に一堂くんの舌先が触れる。


 一堂くん、犬じゃないんだから。そんなに何度も舐めないで欲しい。


「んう……」


 くすぐったくて、身体がビクビクする。


 声も無意識に口から漏れてしまって、止められない。


「もう。三原くんだったらきっと、こんなことしないのに……んんっ」


 すると今度は、一堂くんに強引に唇を塞がれてしまった。


「あのさ。俺といるときに、他の男の名前なんか呼ばないでよ」

「……え?」


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