メンヘラ・小田切さんは今日も妻に貢いでいる
「え?私もお茶したいな、亜夢さん」

「え……翠衣ちゃん、なんで?」

「せっかく誘ってもらったんだし!ね?」 

「翠衣ちゃんは、俺よりトシくんがいいの?」

「…………は?」

「まさか!?
トシくんのこと………」

「え……」
(どうして、そうなるの〜)

「翠衣ちゃんは、俺のことが大好きなんだよね!?
俺だけだよね!?
なんで、トシなの!?
俺、死んじゃうよ!!
それとも、死んでほしいの!?」
いつものメンヘラが発動した亜夢。
翠衣の肩を持って揺らし、ぶつけるように責め立てる。

「ちょっ……亜夢!!」
「やめなさいよ!」

「亜夢!
落ち着け!」

敏郎達が、慌てて止めに入ろうとすると………


「………亜夢さん」
翠衣は、至って冷静に見上げていた。

「何?」

「私が大好きなのは、亜夢さんだよ」

「ほんと?」

「うん!
毎日、言ってるでしょ?
“亜夢さん、大好き”って。
今日お茶したいなって言ったのは、こんなことあんまり機会ないし、たまにはいいかなって思ったからだよ?
それに安川さんや冬菜さんは、亜夢さんのこと“見返りなんか求めずに”仲良くしてくれる大切な友達でしょ?
だから、もっとお話したいなって思ったの。
大丈夫だよ!
私はずっと、亜夢さんの傍にいるよ!」

「うん…!
わかった!じゃあ…いいよ!」

冷静に、真剣に、微笑み言った翠衣。
亜夢はホッとしたように、微笑んだ。


「す、スゲー……
あの亜夢を、納得させた…!」
スギオが、感心したように言う。

「やっぱ、翠衣ちゃんは凄いな!(笑)」
「そうね(笑)
絶対、取り乱さないもんね」

「あぁ、そうだな」
「前に翠衣ちゃん言ってたわ。
“取り乱したら、亜夢さんは益々病んでしまう。
だから絶対私は“冷静に真剣に”相手をする”って!」

「さすが!」
「スゲェ……!」
敏郎達は、尊敬の眼差しで見つめていた。


スギオとツヨシ(スギオの友人)もついてきて、亜夢達六人は近くの居酒屋に向かった。

日も落ちてきていたので“早いけど、飲もう”ということになったからだ。
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