α様は毒甘な恋がしたい

 隣に座る祈さんの顔から消えた、一切の笑み。


「手と足が縛られているなら、私に頭突きをすればいいじゃない!首に噛みつけばいいじゃない! それなのに……」


 なんで祈さんは、泣きそうな顔で唇をかみしめているんだろう?


「私はオメガが大嫌いなの! オメガなんてこの世から全員消えちゃえばいい! そう思っているんだからね!」


 広げた腕を、私に向けオーバーに振り回し


「あなたに媚薬を飲ませて、ヒートを起こさせたのよ! オメガフェロモンをバラまかせて、アルファに襲わせようとしたのよ! それなのになんで、私を怒鳴りつけないのよ! 汚い言葉で私をののしればいいじゃない!」


 ソファの座面が波打つくらい、上体を激しく揺らしながら叫び。


「怒鳴りなさいよ! 私を痛めつけなさいよ! あなたがいい人すぎると……自分の罪を正当化できないんだから…… 罪悪感に押しつぶされそうで、辛くてたまらないんだから……」


 太ももを拳で何度も何度も殴りながら、瞳に雫を浮かべはじめた。

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