α様は毒甘な恋がしたい

 今まで勝手にいただいていた恩。

 少しだけでも、祈さんに返さなきゃ!


 私は口角を上げ、陽だまり声を穏やかにこぼした。


「オメガをこの世から排除したくなるほど辛い過去が、祈さんにはあるんじゃないんですか?」


目を見開いた祈さんに、私は言葉をつづける。


「憎しみは、悲しみから生まれるものだと思うんです」

「……」

「私の中にも積もっているんですよ。目をそむけたくなるくらい醜い、たくさんの憎しみたちが」

「……美心ちゃんの……中に?」


「劣等種のオメガのせいで親に捨てられたことも。オメガの悪口をアルファやベータが言いまくっていることも。なんでオメガばっかり差別されなきゃいけないの? 同じ人間として扱ってよ。そう怒鳴りたい自分が、いつも私の中に存在しているんです」

「……」
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