α様は毒甘な恋がしたい

「この国でもないし、現代の歴史書にも残っていない。はるか昔の話だけど、聞いてくれる?」

「はい」

「私はね聖女だったの」


 聖女?


「女性になりきりたい今と違って、正真正銘の女よ。国で一人だけ特別な力を使えてね。傷口を塞ぐことができたの」

「病も治せたんですか?」

「そこまでの力はなかったわ。開いてしまった皮膚を閉じて、止血する程度。でもね重宝されたの、戦場で」


 ……戦場?


「小さな国だったけど、資源が多くてね。温暖な気候だし、作物も豊富にとれるし。ほかの国からしたら、手に入れたくてしょうがなかったみたい」

「じゃあ、他の国に責められたり……」

「ほんとしょっちゅう。でもね、わが国には優秀なアルファ騎士団がいて、すごく強かったの」

「アルファ騎士団ですか」

「私も騎士団の看護師要因として大活躍していたのよ。矢が飛び交う戦地に行って、負傷兵の傷を治していたし。騎士たちは並はずれた身体能力を持っていたってのもあって、無敵の騎士団だったわ。他国が我が国の領土に入る前に、いっつも追い返してたんだから」
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