腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


 だが、お母さんは尚人の顔を見つめて何か言いたそうな雰囲気を匂わせている。


「尚人くん……今までも和歌に暴力を振るったことはあるの?」


 お母さんの質問に尚人は「いえ」と一言だけ返事を返した。


「今の俺どうかしてました。本当に申し訳ありませんでした」

 尚人は、和歌と和歌のお母さんに向かって、頭が床に着くほど、深く土下座をした。

 こんな形だけの謝罪を見せられても普通は許そうとは思わない。けれど、「まあ……さっきのが初めてなら、今後しないと誓ってくれる?」あろうことか、和歌の母親は尚人を許す気だ。


 どう考えたって、暴力を振るう、家を追い出す、家事をしない男が自分の娘と結婚をするだなんて、親の立場からしてみたら嫌なはずだ。和歌のお母さんはこんな人だっただろうか。

 和歌に目を向けると、特に母親に言い返す気はないのか、びっくりしすぎて話せないのかは分からないけれど、喋り出す仕草が見受けられない。


「あの……尚人さん、浮気していますけど?」

 そう尋ねると、「人間なら浮気の一回くらいするでしょう! 今の人たちは心が寛大じゃなさすぎるのよ!」尚人の味方をするといったような発言をしてきた。



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