腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「……は? 弁護士?」
尚人は何してくれてんだよ、というような目で和歌に視線を戻した。下手したら今にも殺してしまいそうな殺気を放っている。
「とりあえず、和歌さんから退いてもらえませんか? 今後一切彼女に触れないでください。でないと、あなたの罪が重くなって自分の首を締めることになりますからね」
弁護士が来たと聞いてか、多少時間が空いたからか、尚人は我に返り「えっ? あ……」と言葉を発し、口から血が出ている和歌を見て顔が青ざめていた。
「俺、こんなつもりじゃなくて」
「いいから、さっさと退いて下さい」
和歌の上から尚人を引き剥がし、テーブルを挟んで尚人は一人ポツンと座った。
「和歌さん、大丈夫ですか?」
和歌にはあえて、距離を取りながら接する。
咄嗟に和歌のズボンのポケットからボイスレコーダーを取り、俺のズボンのポケットへ入れる。
「お母さん、和歌さんを連れて、少し離れてて下さい。頬もその氷袋でひたすら冷やしていてください」
和歌のお母さんは俺が誰かは分かっていないだろう。その時点で『おばさん』と呼ぶのも失礼な気がして「お母さん」と言い直した。
お母さんは急いで和歌の元へ駆け寄り、和歌の腕を引いてキッチンへと移動した。本当はお母さんにも証拠を見てもらおうと思っていたけれど、尚人が手を上げた以上、尚人の味方になることはないだろう。