腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「そうではないです。日本って法治国家なんです」


「法治……国家」


「法律に基づいてペナルティーを課すことが求められているんです。夫婦は互いに協力し扶助しなければならないと定められているんです。不倫の仕返しをされて腹が立っても、慰謝料を取りたくても取れないんです」


 下を向いて固まる尚人。


 銀行の駐車場に着き、尚人を促しながら銀行の中へ向かう。無事に五百五十万円を引き出した尚人は、封筒ごと俺に差し出した。


「…………スミマセン、でした」


 ようやく心からの謝罪をされた気がする。


「和歌さんの件は許していませんし、許せません。あなたは本来守るべきはずの婚約者を傷つけたことを一生反省し、償い続けて下さい。あなたが変われば、今後尚人さんに何か不利な出来事があった時に相談くらい乗りますよ、弁護士として」


「……あなたにだけは頼みたくないです」


 尚人の表情はどことなく、憑き物が取れたような、柔らかい表情になった気がする。


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