腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー



 和歌の家へ戻り、完済証明書に名前を記載してもらった。


 尚人は和歌とお母さんに「本当にスミマセンでした」と、深々と頭を下げ、和歌の家から出ていこうとしていた。だが、「待って」と、和歌の言葉で尚人は足を止めた。


「……これ」


 和歌が差し出したのは、ジュエリーケースに閉まってある婚約指輪だった。


「返すね、もう必要ないから。これを売れば少しくらい尚人にお金が返ってくるんじゃない?」

「……返ってこないよ、そんなに高いもんじゃないし……それより、和歌、ごめん」


 尚人は和歌から指輪を受け取り、有栖川家を後にした。お母さんは放心状態で、ハアと大きなため息を吐いている。


 そして気持ちの整理をするかのように話始めた。


「尚人くんはとても良い子で、私にも優しくてね。誰だって過ちは犯すし、カッとなることはあると思うの」


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