腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「急じゃないでしょ、尚人が出ていってほしそうにしてたんでしょ」
『……荷物、和歌の荷物、全部マンションから消えてただろ! どういうことか説明しろよ!』
「……うん、帰ったら説明するね。じゃあ一旦切るね」
色々反論したかったはずだ。けれど、そうしなかった和歌の、大人の対応に救われた。
「暖……どうしよう、尚人が来てるって」
和歌は今にも泣きだしそうな目で俺を見る。こんなときでも、和歌のことが好きな俺は『かわいいな』とか『抱きしめたいな』なんて思ってしまう。
こんな感情になるのは、やっぱり和歌だけだ。
「後から証拠持って和歌の家に入るから、和歌は証拠なしで尚人がどんな言い訳してくるのか聞いてて」
俺は和歌に服に着けられる小型の盗聴器とズボンのポケットにすっぽりと収まる大きさのボイスレコーダーを渡した。
「どこまで話していいの?」
「尚人が浮気していること、家のことを手伝ってくれなかったこと、家政婦扱いされていたこと、全部話していい。そのことを、親も交えて話して」
逆に俺からすると、和歌の親がいた方が逆にありがたい。
親がいた方が、慰謝料を払う、払わないのときに拒否できにくくなる。不貞行為を犯した加害者は必ずそういう気持ちにさせられる。和歌の親と仲がいいのなら尚更だ。