腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
和歌の家には、和歌が学校を休んだ時にプリントを持って行ったことが何度かある。その際、和歌のお母さんからお菓子と飲み物をご馳走になったりもした。
道は覚えている。「東郷くん、いつもごめんね、ありがとうね」と言って微笑んでくれていたことを今も記憶にある。
きっと俺のことなんて覚えていないだろうけど、こんな状態だけど、和歌の親と会えるのがほんの少しだけ楽しみだ。
ベリが丘の街を出て高速道路へ乗る。約一時間ほどで、和歌の家の近くの駐車場へと到着した。懐かしい。ここの辺りも変わっていない。
「……じゃ、俺、一旦ここで会話聞いてるから」
「……うん。私うまくできるかな」
「大丈夫、俺もいるし。そうだな、まず、尚人が和歌の母親にどういう風に説明しているのかをしっかり聞いて。一つ一つ事実を話していけばいいから」
そう言うと、和歌は消えそうな声量で「うん」と答え、車内から出て歩いて家の方へと向かって行った。服に付けた小型の盗聴器の電源を入れたのだろう、「暖、もうすぐ家に着くよ」と俺に報告してきた。
和歌には俺の声は聞こえないため、俺は和歌が話している内容を聞きながら動くことになる。