つれない男女のウラの顔
「それに私の方こそ、これから旭さんにたくさん格好悪いところを見せると思います。ていうか、既に散々見せてしまっているし…。こんな私でも、一緒にいてくれますか?」
「当たり前だろ。初めて本気で惚れたんだ。簡単に手放したりしない」
そう言った成瀬さんは、私の頬に添えていた手を後頭部に回し、ゆっくりと引き寄せ唇を塞いだ。
何度目か分からないキスにいい加減慣れたらいいのに、やはり彼の熱を感じた途端に頭が真っ白になる。
重なっては離れ、また重なる。優しく丁寧に何度も落とされるキスに、身体が痺れるような感覚に襲われた。
彼の服を握りしめ、絶え間なく降り注ぐキスを受け止める。
「あの日も、本当はこうしたかった」
「…あの日?」
薄らと目を開けると、鼻先が触れ合う距離で私を見つめる彼と視線が重なった。愛しいものを見るような目に、ドクンと心臓が跳ねた。
「触れたくて仕方がなくて、でもあの状況で一度触れてしまうと歯止めがきかなくなる気がして、かなり我慢した。それなのに京香は、まるで煽るように触れてきて」
「…身に覚えが…」
「挙句の果てには隣で気持ちよさそうに寝るし」
「………あ、」
もしかして、1週間前のあの日のこと?確かにあの日は、映画を観ながら私から成瀬さんに触れた。そしたら手を繋がれて、そのまま寝落ちして…。
「相手が俺だからよかったが、あれは襲われても文句言えないぞ」
「す、すみません…でも旭さんの前だからこそ眠れたというか…すごく安心しちゃって…」
「…そうやってすぐ煽る」
成瀬さんがぼそっと呟いたかと思うと、今度は噛み付くようなキスが落ちてきた。必死に受け止めるも、思わず吐息のような声が漏れる。