つれない男女のウラの顔
やっぱり成瀬さんはキスが好きなんだと思う。荒いようで優しい。味わうようなキスに、どんどん身体が熱くなっていく。
息継ぎをしないとさすがに苦しくて、身を捩り何とか口を開けた。するとその直後、その隙間から成瀬さんの舌が侵入してきて息を呑んだ。まるでこの瞬間を待っていたかのようだった。
待って待って、ここまでするなんて聞いてない。
歯列をなぞられ、舌を吸われた。無意識に成瀬さんの胸を押したけど、上手く力が入らずビクともしなかった。
「…あ、さひ…さん、」
こんなキス知らない。どうすればいいのか分からない。
頭で考える余裕もないけど、それよりも自分が自分でいられなくなりそうで怖かった。
感じたことのない快感。思わず声が出そうになる。
何とか名前を呼んだけど、それすらも丸ごと飲み込むように再び唇を塞がれた。
息が苦しい。恥ずかしい。でも、やめてほしくない。
色んな感情がぐちゃぐちゃになって、ただただ彼に身を委ねた。
「京香」
優しい声音が鼓膜を揺らす。それだけでぞくりと身体が反応した。
「旭さん…」
目の前の彼が愛しくてたまらなくて、名前を呼んだあと成瀬さんの首に手を回した私は、吸い寄せられるように自分から唇を重ねた。
気持ちを伝えるまで、あんなにも躊躇したのに。気持ちが通じあった途端、大胆に求めてしまう。
成瀬さんの熱が心地いい。これ以上は正直怖いけど、それよりも彼が欲しいという気持ちが強くなる。
「旭さん、私いますごく幸せです」
「うん、俺も」
穏やかに笑った彼は、突然私の耳朶を優しく甘噛みすると、そのまま首元にそっとキスを落とした。