つれない男女のウラの顔
ポケットからスマホを取り出して、成瀬さんの連絡先を表示させた。
そう、昨日あのあと無事に彼の連絡先をゲットしたのだ。
寝る前に「おやすみなさい」と送ったメッセージ。ほどなくして「おやすみ」と返ってきた一言を、朝から何度も眺めている。
“成瀬 旭”の文字を見て、思わず顔がニヤけた私は、幸せを噛み締めるようにスマホを抱きしめた。
トイレを出て、来た道を戻る。
今晩も成瀬さんに会えるだろうか、一緒に夕飯を食べられないだろうかと考えながら。
───と、その時。
突然何者かに後ろから腕を引かれ「ひっ」と声にならない声が出た。そのまますぐそばにあった部屋に引きずり込まれ、ドアが閉まったと同時にその人物の顔を見て、思わず目を見張った。
「あ、旭さん?!」
「シッ。あまり大きい声を出すんじゃない」
連れ込まれたのは狭い倉庫で、壁に追い詰められたかと思うと、成瀬さんは壁ドンのような形で私を見下ろした。
「どうしてここに…」
「このあと会議があるからあまり時間はないが、さすがに見過ごせなくてな」
「?何かあったんですか?」
「それはこっちの台詞なんだが。さっきのは一体なんだ」
「さっきの??」
成瀬さんの視線が鋭い気がする。
相変わらず無表情だから感情が読み取れないけど、若干不機嫌なような…。